平成15年度は助成研究の遂行に必要とされる資料および情報を収集・整理し、分析方法を検討すること目的とし、以下のような研究を実施した。本研究の基礎資料となる『沖縄タイムス』CD-ROM版と『うるま新報』復刻版を購入した他、11月と1月に琉球大学付属図書館および沖縄県公文書館を訪問し、『沖縄タイムス』縮刷版およびマイクロフィルム版の閲覧・複写を通して、戦後の沖縄の大衆運動と選挙結果の動向の把握に努めた。 大衆運動関連記事については、発生年月日・場所・形態に関わるデータベースを作成し、集会での宣言・決議文などテキストデータもファイル化し、表型データベースと相互参照できる形で整理した。選挙結果については、選挙結果と報道記事のデータベース化を行なった。大衆運動に関するデーターベースを抗議対象に応じて分類し、大衆運動発生の時空間的傾向を析出した。その傾向を大衆運動の発生後に行なわれた選挙の結果と付き合わせることで、大衆運動と投票行動が時空間的に符合するか否かを検討した。 以上の作業の結果得られた知見をもとに、8月に大阪市立大学ほかで開催された「オルタナティヴ地理学・東アジア地域会議」において日本国内における米軍駐留の地政学的意味に関する英文のペーパー・口頭発表を行い、近日アメリカ合衆国Guilford社から刊行予定のGlobalization and its Outcomesにおいて一章を担当し1990年代の大衆運動の高揚をめぐる沖縄県政の動向に関する論文を英文で執筆した。
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