1 青森県の「蛇聟入・苧環型」の資料調査と現地調査。青森県の蛇聟入・苧環型の伝承地は、東通村、五戸町、木造町、八戸市、川内町、佐井村である。本調査では、まず青森県立図書館で資料調査を行った。伝説は、八戸市であるため、八戸市図書館、および伝承地で聞き取り調査を行った。 2 長崎県の「蛇聟入・苧環型」の資料調査と現地調査。長崎県の蛇聟入・苧環型の伝承地は、島原半島の小浜町、平戸市、対馬である。本調査ではまず長崎県立図書館にて資料調査を行った。伝説としては、小浜町の伝承なので、現地調査は主に小浜町で行った。現地の聞き取り調査では、伝承にある地名の確認は出来なかったが、伝承地の開拓始祖の家は確認出来た。 3 データベース化の作業。パソコンを購入し、青森県・長崎県の伝承を、昔話は11項目、伝説は13項目ごとに整理した。伝説については、伝承地(娘の家と蛇の棲家など)を地図化した。またデジタル・カメラを購入したことにより、写真も加えて、データベースを作成した。 4 景観構造の把握作業。伝承されている家は、地域の開拓の始祖と考えられ、蛇の棲家は神話の世界山と考えられるので、始祖の家と世界山の位置関係を把握する必要がある。そのため、一つは、地形図上での位置関係、次に、地形図の3D化による立体的な構造把握、そしてビデオカメラ購入によって、現地のビデオ撮影での位置関係の把握を行った。 5 統計資料の作成。全国の蛇聟入・苧環型の神話から伝説・昔話の変容過程と景観構造の関係を見るために、データベース化した項目の統計資料を作成している。本年度は青森県と長崎県の資料を加えた。この資料は本研究期間内に完成する予定である。
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