研究課題
基盤研究(C)
平成16年1月23日から3月5日までと、平成16年8月2日から10月8日まで現地調査を行った。近代国家に包摂される過程で、ガブラ・ミゴは民族アイデンティティの変更を幾度かおこなってきた。今もガブラ・ミゴの内部では、オロモ派とソマリ派が、それぞれ主張を繰り広げているが、彼らは本質主義的な主張を展開する一方で、合理的理由が民族選択の背景に存在することが判明した。(1)両派の本質主義的主張を記録するとともに、民族選択の合理的理由について調査をおこなった。その際、ガブラ・ミゴを均質で一枚岩の存在として理解するのではなく、さまざまな利害関係にある諸主体からなる異種混淆的な存在として理解するよう努めた。(2)両派はともに民族の歴史的記憶に言及している。そこで言及された歴史的記憶について、語りのバリエーションを把握した。政治の一線から退いた長老からも歴史的記憶の詳細を収集し、現在、会議などで活躍する指導的立場にいる人々が、何を誇張し、何を無視して語っているかを検討した。(3)現在、ガブラ・ミゴが民族アイデンティティの選択を議論している背景には、連邦制によって「大民族」が創造されたこと、「大民族」が地域の「稀少な資源」をめぐって争うようになったこと、がある。しかし「稀少な資源」という見方そのものが、この地域では近年、誕生した見方であると思われた。そこで「稀少な資源」の一つであるディレ地区における深井戸の異民族による共同利用について調査を深め、民族間関係の変換点となる1964年以前の井戸の利用に焦点をあて、ガブラ・ミゴとボラナの民族間関係の再構成した。
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すべて 雑誌論文 (12件)
人文社会論叢 人文科学篇(弘前大学人文学部) 13
ページ: 167-195
ファースト・ピープルズ(明石書店) (印刷中)
研究彙報(東京大学東洋文化研究所) (印刷中)
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Yuudoumin, Shyouwado
First Peoples (Akashishoten) (in print)
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Nilo-Ethiopian Studies Vol.10 (in print)