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2003 年度 実績報告書

東アフリカ牧畜社会における実践空間の認識と地図表象化:ディジタル解析の応用

研究課題

研究課題/領域番号 15520513
研究機関東京外国語大学

研究代表者

河合 香吏  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (50293585)

キーワード地理情報システム(GIS) / 東アフリカ牧畜民 / ドドス / 認知地図 / 表象化 / 空間認識 / 集団間関係 / レイディング
研究概要

本研究は、東アフリカ・ウガンダ共和国に住む牧畜民ドドスの人びとが自らの生活する土地を描いた認知地図を基礎資料として、地理空間の認知とその表象化の過程をGIS(地理情報システム)等のディジタル化による情報処理の手法を援用して解析し、実践空間としての土地をめぐる「知」の構築機序を解明することを目指すものである。
研究計画の初年度にあたり、初期作業として画像資料のディジタル化と既存資料のデータベース化を進めるとともに、GISを用いた解析を順次試行した。具体的には、(1)地形図(1/50000)にもとづくディジタル・ベースマップ(DEM : Digital Elevation Model)の作成、(2)認知地図のディジタル化、およびディジタイザを用いたランドマーク等のオブジェクトのトレース処理とレイヤー構造の構築、(3)地名や地形語彙、言語的・行動学的資料のデータベース化等の作業を進めた。GIS解析では、(1)ドドスランドの地形量の評価、(2)特定のランドマークからの可視域の描出およびランドマークの選択要素の評価、(3)山や丘、河川と水場、集落と家畜キャンプといったオブジェクトについて、オブジェクト同士、およびオブジェクト相互の位置関係を評価、(4)オブジェクトの形状や大きさから視座域を抽出、等を試行し、物理空間と地図表象との関係を考察した。解析は試行段階であるが、オブジェクトの配置の評価から、集落や家畜キャンプ等の「定点」と、道などの「移動」空間が、地図表象化においてきわめて対照的な現れを示し、空間認知における「方眼」ないし「罫線」の機能を示唆する一方、水場は他のオブジェクトとは独立に描かれる傾向が認められた。
これらの作業および解析の経緯と成果の部は地理情報システム学会、生態人類学会等において報告するとともに、『アジア・アフリカ言語文化研究』に原著論文として発表し、また東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所のWebサイト[http://www.aa.tufs.ac.jp/~mod/irc/gis/gis_project.html]に公開した。実践空間というアリーナに展開されるドドスの社会・文化的側面については、土地と家畜所有、および家畜保有とレイディングをめぐる隣接集団との関係についてそれぞれに考察し、書籍論文集等に執筆した。年度後半(2004年1月16日〜2月16日)にはケニアとイギリスにおいて地理資料および文献資料の収集をおこなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 津村宏臣, 河合香吏: "地図をもたない人々が描いた「地図」--ウガンダの牧畜民ドドスの空間認知に関するGISによる予察的検討"地理情報システム学会講演論文集. Vol.12. 431-434 (2003)

  • [文献書誌] 河合香吏: "東アフリカ牧畜社会の家畜と土地をめぐる「所有」"研究彙報(東京大学東洋文化研究所). 第四号. 19-31 (2004)

  • [文献書誌] 河合香吏: "ドドスにおける家畜の略奪と隣接集団間の関係"田中二郎・佐藤俊・菅原和孝・太田至編『遊動民(ノマッド)-アフリカの原野に生きる』昭和堂. 542-566 (2004)

  • [文献書誌] 津村宏臣, 河合香吏: "GIS(地理情報システム)を用いた認知地図の解析の試み--東アフリカ牧畜民の地理空間認識とその表象化の理解にむけて"アジア・アフリカ言語文化研究. No.67. 1-41 (2004)

  • [文献書誌] 河合香吏: "ほん(新刊レビュー)田邊繁治・松田素二編『日常的実践のエスノグラフィ--語り・コミュニティ・アイデンティティ』世界思想社(2002年)"民博通信. No.103. 25 (2002)

  • [文献書誌] 河合香吏: "ヒトは暮らす"赤堀雅幸・棚橋訓編『人類学は語る』北樹出版. (印刷中).

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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