本年度はまず7月から8月にかけて内モンゴル自治区オルドス市西部アルブス山に入り、アルジャイ石窟とその周辺に分布する遺跡について概略的な調査を進め、石窟付近の寺院に住む僧侶にインタビューを実施し、遺跡の性格について把握することができた。つづいてアルジャイ石窟1号窟をはじめ、石窟全体について、本研究の海外共同研究者である現地オルドス市文物管理所の考古学者たちとともに整理をおこなった。その結果、1号窟だけでなく、13号窟、14号窟それに30号窟からも少量の文書(手写本と木版本の両方を含む)が出土していることを確認できた。ただし、現在の中国においては、考古学的な発掘を実施するには、国家文物局の許可が必要なため、整理以上に本格的な発掘調査は実施できなかった。また、石窟の建築学的な構造についても、文書の保管との関連から調べた。 つづいて現地オトク旗文物管理所に保管されている出土文書を整理分類し、写真撮影をおこなった。現在、日本に持ち帰った写真資料にもとづいて文書を内容別に分類する作業を進めている。 なお、本年度の調査によって得られた最新の学術情報を日本モンゴル学会秋季大会(於 大阪国際大学)にて報告した。
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