研究概要 |
1.ブラジルにおける現地調査 ブラジルで現地調査・研究交流を実施した〔2004.2.29-3.29,8.16-9.8〕。サンパウロおよびリオデジャネイロにおいて、民衆文化の物質文化の展示収集について調査を行い、研究者との意見交換を通じて、ブラジルの民衆芸術の直面している問題、新しいプログラムなどについて把握した。サンタレン、ベレン(イコアラシ)、マラジョー島において、陶器生産の実状および、民衆芸術振興プログラムの進捗について調査した。 2.文献資料および博物館展示の研究 (1)南北アメリカの陶器生産についての文献研究を通じて、民衆芸術としての陶器の生産・流通・消費の多様な形態と、それを取り巻く諸言説(民族学、芸術界、ビジネス、観光、行政など)の相互作用について把握した。 (2)比較のため、日本における陶器生産について文献と博物館展示を通じて研究を行うほか、「民芸運動」を焦点化し、ブラジルにおける民衆芸術をめぐる言説・運動と対照しつつ考察することによって、民衆芸術をめぐる「審美学と政治学」について理論的研究をおこなった。 (3)記憶、口頭伝承、忘却およびアイデンティティとの関係についての理論的考察をつうじて、民衆の記憶の媒体としての民衆芸術としてアマゾンの陶器生産を分析するための手がかりを得た。 3.学会における発表および成果のデータベース化 (1)FIEALC(ラテンアメリカ、カリブ海研究国際連盟)第11回大会において口頭発表を行い、歴史との交渉という観点から、アマゾンの陶器生産の実践の実状について考察したほか、日本ラテンアメリカ学会第26回定期大会(2005.6)において発表を予定している。 (2)ブラジルでの現地調査で得られた資料(とくに映像資料)についてデータベース化の基礎作業をおこない、公開作業の手始めとして『季刊民族学』第113号(2005.7)に論文が掲載される予定である。
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