初年度にあたる平成15年度には、研究計画にもとづき、主として下記の調査を実施した。 1、日本国内のカトリック教会における外国人(移住民)の教会活動、宗教生活に関する実態調査を東京都内および京阪神における複数の教会において実施したほか、東京におけるインターナショナルディ(東京大司教区の行事)、クリスマスミサと集会(フィリピン系のカトリック信徒中心)を観察する機会を得た。 2、日本のカトリック教会において活動するカトリック司祭、修道女等のインタビューを実施した(日系ブラジル人のミサおよび司牧を担当する司祭、在日ベトナム人・ベトナム系のカトリック信徒の司牧を担当する司祭・在日フィリピン人・フィリピン系の信徒コミュニティの指導者等)。インタビュー内容については、その多くを録音し、記録を作成中である。 3、文献資料調査。移住民の宗教生活、とくにカトリック教会関係については、国内にはほとんど文献および資料が存在しないため、アメリカ・ワシントンDCに所在するアメリカ・カトリック大学の図書館において関係文献の閲覧、一部複写を行った。 日本のカトリック教会における外国人信徒の比率は近年徐々に高まっている。日本人信徒が全体として高齢化していること、グローバル化のなかで外国人移住民(日系ブラジル人、フィリピン人など)が増加していることがその主な理由である。それにしたがってカトリック教会の教会活動も大きな変革を迫られており、教会指導部もそのことを認識しつつある。
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