研究課題
本年度は、昨年度につづいて、首都圏および関西圏を中心として、カトリック教会における海外からの移住民、とくにフィリピン系の人々の宗教実践の参与観察および関係者のインタビュー調査を進めた。カトリック教会のなかでも、とくに1980年代後半よりフィリピン本国で盛んになった新しい宗教運動であるエルシャダイと呼ばれる運動に焦点をあてて、参与観察を行った。また、関係者のインタビューは日系ブラジル人のシスター、フィリピン人の司祭、シスターおよび信徒指導者等で、日本において長期にわたり活動している人々、およそ10名に対して行った。インタビューは録音し、記録を作成中である。さらに2005年3月には約10日間にわたり、主としてマニラ首都圏において、マニラ大司教区事務所、カトリック司教協議会等において文献収集をおこなった他、日本で数十年にわたって移住民に対する司牧に従事した経験をもつカトリック司祭にインタビューを行った。以上のような調査の結果、日本国内とくに首都圏とその周辺の地域では、日系ブラジル人やフィリピン人およびその子弟などが、場合によっては日本人のミサ出席者数をうわまわるという現象がみられることが明らかになった。多くの海外からの移住民が加わることによって日本のカトリック教会は変化しつつあり、ミサへの参加の仕方などの面で新しい展開がみられることが理解された。こうした理解をもとに来年度はさらに参加観察とインタビューを進めていく予定である。
すべて 2004 その他
すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)
近現代日本・フィリピン関係史(池端雪浦, L.N.ユー.ホセ(編))(岩波書店)
ページ: 245-286
宗教人類学入門(関一敏, 大塚和夫(編))(弘文堂)
ページ: 82-100
フィリピン歴史研究と植民地言説(永野善子(編))(めこん)
ページ: 36-73
海外の宗教事情調査報告書(文化庁編) (印刷中)