第一年度、第二年度にひきつづいて、首都圏を中心として、カトリック教会における海外からの移住民、とくにフィリピン系の人々、日系ブラジル人の宗教実践の参与観察および関係者のインタビュー調査を進めた。フィリピン系のカトリック共同体の活動については、千葉県に所在する3つの教会で行われているフィリピン系の人々のためのミサ(フィリピン人司祭による英語またはフィリピン語のミサ)をおよそ半年間にわたり、毎週観察するとともに、ミサ以外のさまざまな活動にもできるだけ参加した。同時にこれらのエスニック共同体の関係者とくに信徒に対する非公式の聞き取りを行った。日系ブラジル人のカトリック共同体については、日本において長期にわたりその世話を担当しているブラジル人のカトリック司祭をはじめとする関係者の聞き取りを実施した。また、2005年10月末および2006年1月にはそれぞれ数日間、フィリピンのマニラ首都圏において、フィリピン司教協議会移住民担当委員会等において関係資料、刊行物、統計等の収集をおこなった。 これまで三年間にわたって実施してきた各種の聞き取り調査については、録音テープからの筆耕、発言内容の確認を経て、聞き取り対象者である原発言者による校正を開始した。これらの記録のうち、10数編については編集作業を行った。これらの成果の一部は国際フィリピン学会(2006年11月)または国際シンポジウムにおいて報告することが決定した。
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