平成15年度は、本研究にとって不可欠でありながら、当該研究機関において備えられていない既に活字化されている近世裁判関係の図書を購入した。そして、これと並行して国立国会図書館、京都府立総合資料館(11月21日、22日)、東北大学附属図書館(1月15日)、名古屋大学附属図書館(3月3日)への史料調査を実施し、各機関に所蔵されている江戸、京都、大阪等いわゆる近世の巨大都市における「訴訟」のあり方を窺い知ることができる史料をできる限り広く渉猟した。 そして、その史料を筆写し、データーとして利用しやすいように整理を進めている。 その結果、近世の都市社会における「訴訟」の特色として、(1)司法と行政は未分化の状態であり、両者を総称して「訴訟」と表現する場合が多かったこと、(2)農村社会と異なり、都市においては行政的な「訴訟」が多く、しかも極めて重要であったと思われること、(3)行政的な「訴訟」については、町奉行所が独特な解決方法を用意していたと思われること、等の点を導き出すことができたと、考えている。 上記の史料調査、史料分析を先にして、来年度は更に詳細な史料調査、分析を実施するとともに、近世都市社会における「訴訟」に関する論文を執筆し、最終的には著書刊行の準備をすることを予定している。
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