本年度は、主に関連する法令と文献の収集を行い、併せて若干の法令の翻訳と文献の講読を行った。 その結果、以下の点が明らかになった。 1848年のサルデーニャ王国憲章は、第1条で、「使徒法承のローマのカトリック教は国の唯一の宗教である。既存の他の宗派は、法律に従って認容される」と定める。すなわち、カトリックが国教として他の宗派に対して優越的地位にあることがみてとれる。 しかしながら、実際には、カトリックに対しては、旧来の特権を剥奪し、他の宗派に対してはカトリックと同等の地位を与える政策がとられていた。 例えば、1848年2月18日の勅書はワルドー派にすべての民事上及び政治上の権利を承認し、同年3月29日の勅令はユダヤ人にすべての民事上の権利を付与した。そして、同年6月19日の法律は、宗派の違いは民事上、政治上の権利の変更、文武官の官職への就任に際しての例外をなさない、と規定していた。 この憲法の規定とは適合しない政策を採用した理由を探究するのが今後の課題である。
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