本研究は、大学改革とくに国立大学の国立大学法人化のなかで、新しい大学の組織論は、いかなる観点から構想されているのか、されるべきか、学問の自由といかなる緊張関係にあるのか、いかなる解決が図られるべきか等の問題について考察しようとするものである。その際、大学改革を進めている各国の法制、大学毎の組織原理、そして日本の大学毎の組織原理を調査対象として研究を進めることを企図した。 この研究を進める中で、オーストラリアの大学が1980年代末からこの問題に取り組み、一定の結果を出していること、その評価が始まっていることを知った。そこで、オーストラリアのメルボルン大学、シドニー大学に調査に赴き、インタビューを行い、資料を収集してきた。 オーストラリアの大学改革の枠組みをつくるのは、連邦法と州法そして大学独自の規程でありこのなかで重要なのは、連邦法で言えば、the Higher Education Support Act2003であり、メルボルン大学で言えば、the Melbourne University Act(州法)であることが分かった。また、連邦法を主導した考え方に、Nerson packageがあることが分かった。また、メルボルン大学、シドニー大学の運営組織が分かった。 また、大学改革全般の評価に関して、メリット、デメリットについてのいくつかの意見を収集できた。 今後、オーストラリアの大学改革を一つの柱として、資料の読み込み、分析を行っていく予定である。また、日本の大学のモデルがアメリカの大学であるとしても、大学改革の手法はまた別あると思われ、そのモデルの絞り込みと、アメリカ、日本、モデル、オーストラリアを対象として、大学運営の長所と短所についての共通性と相違点を明かにしていく予定である。
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