本研究は、大学改革とくに国立大学の国立大学法人化のなかで、大学の自治を支える新しい大学の組織論は、いかなる観点から構想されているのか、されるべきか、学間の自由といかなる緊張関係にあるのか、いかなる解決が図られるべきか等の問題について考察しようとするものである。その際、大学改革を進めている各国の法制、大学毎の組織原理、そして日本の大学毎の組織原理を調査対象として研究を進めることを企図した。 この研究を進める中で、オーストラリアの大学が1980年代末からこの問題に取り組み、一定の結果を出していること、その評価が始まっていることを知った。そこで、2004年度はオーストラリアのメルボルン大学、シドニー大学に調査に赴き、インタビューを行い、資料を収集してきた。 オーストラリアの大学改革の枠組みをつくるのは、連邦法で言えば、the Higher Education Support Act 2003、メルボルン大学で言えばthe Melbourne University Act(州法)であるが、本年度は、この内容理解に取り組んだ。また、2005年度は、再びメルボルン大学に赴き、the Melbourne University Actの運用についてインタビューを行ってきた。 今後も、オーストラリアの大学改革を一つの柱として、資料の読み込み、分析を行っていく予定である。その中で、日本の大学法人法とオーストラリアモデルの比較を行い、大学運営の長所と短所についての共通性と相違点を明かにしていく予定である。
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