本研究の初年度として、(1)地方議会が置かれている現状と問題点の整理、(2)議会活性化の取り組みについて全国議長会3団体および3県議会事務局における聞き取り調査の実施、(3)ドイツ州議会(ハンブルク議会)の議会改革に関する資料収集を行なった。まず、地方分権推進委員会により提案された議決事件の条例による追加、議員の議案提出権の緩和などが改正地方自治法で実現されるなど、地方議会の機能強化のための法的整備は充実しつつある。また全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会および全国町村議会議長会の3団体は、平成10年以降、議会の活性化に関する調査研究等に積極的に取り組み、地方議会を先導する役割を果たしており、すでに多くの地方議会で活性化のための取り組みが開始されているが、本年度は、三重県議会、宮城県議会および鳥取県議会の3県議会について、その具体的な活性化方策について聞き取り調査を行った.これら3県議会は、改革派知事の登場を主たる契機に、執行部との間に緊張関係を維持しながら、(1)政策立案機能の強化、(2)開かれた議会の推進、(3)議会補佐システムの充実の3点を主たる基本理念として設定し、(1)については、議員による政策提言、条例発案あるいは執行部提案の厳格な審議などに、(2)については、本会議のテレビ中継、委員会の公開あるいは県民と議会との距離を狭める方策などに、そして(3)については、議会(議員)の政策立案能力を高めるために、議会事務局に政策調査室等を設置するなどの組織改革や職員の政策法務研修の充実などに、積極的に取り組んでいる。なかでも三重県議会と宮城県議会は、地方自治法上の制度改正について連携して検討する合同会議を平成15年10月に立ち上げており、今後の成果を引き続き注目していきたい。
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