研究課題
本研究は2年計画で、今年度は日韓の相続法制・相続税制の相違を正確に理解することに努めている。そのために毎月の研究会を開催し、次のようなテーマで検討をし、研究メンバーの共通認識を高めてきた。1)日韓相続事例の具体例の検討(6、7、9、12月)、2)韓国相続税制の仕組(李信愛税理士による報告)3)韓国相続税における申告実務(土田税理士)4)韓国相続法改正の動向(南山大学・青木教授)これらの検討からわかってきたことは、渉外相続に課税問題が絡まると、相続法制の差異と課税法方式の差異が複雑に絡み合い、一般の実務家や課税の現場では対応できなくなっており、結局、理論的整合性は無視して、場当たり的に処理してきているという実態であった。さらに、日本と韓国は日本が遺産取得税方式をベースにした折衷方式で、韓国が遺産税をベースにした折衷方式という複雑な方式であるため、より一層難解な問題になりかねないという特殊性もある。研究会では、これらの実態をふまえた上で、3月には韓国調査行う予定であり、韓国の相続税実務家、相続法研究者、韓国国際私法研究者にヒヤリングを行い、在日の人の相続課税を巡る法的問題点を整理する予定である。同時に、今回の研究を単に学者の関心のレベルにとどまらせることなく、この研究成果を実務家及び納税者に還元する観点から、我が国で実際に起きているケースの解決策を提示すべく、具体的な検討作業にはいっている。次年度は具体例とその課税問題の考え方を詳細に検討し、実務家も使えるレベルにまでにする予定である。そのために、来年度本研究の成果をまとめ、出版することも予定している。
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