研究概要 |
企業組織の変動が労働法に与える影響とその影響から見えてくる労働法の未来について、企業組織の範囲と成員構成という二つの側面から分析を行っている。 平成16年度には、企業組織の変動そのもについては、労働市場の変化が企業組織の変動にどのような影響を与え、企業組織の成員構成をどのように変化させてきているのかを、アメリカとの国際比較も含めて行った。この点では、『労働市場・企業組織の変容と労働法の課題』と題する日米比較の国際シンポジュウムを組織した。 また、労働法学から企業組織の問題に接近する方法についても,商法学における企業組織概念との対比で検討を行った。 現在進行形の企業組織の変動問題と労働法の課題については、(1)組織範囲の変動と労働法としては、資本を通じた企業再編パターンとアウトソーシングパターンに分けて分析し、(2)成員構成の変動と労働法としては、契約形態の多様化と雇用形態の多様化を分析した。その上で、(1)に関しては、企業組織の再編に伴う雇用責任追及法理として、(1)黙示の労働契約法理と(2)法人格否認の法理が検討課題であり、(2)に関しては、(1)労務供給契約の労働法的位置づけと(2)労働契約以外の契約に基づいて労務を供給する就業者の保護が検討課題であることを明かにした。
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