本研究の目的は、債権の流動化に対する障害として理解されることの多い譲渡禁止特約につき、その意義と効力を根本的に再検討しようとするものである。 ところで、譲渡禁止特約が債権の流動化に対する障害として把握される背景には、債権の流動化を一層推し進めるべきであるとの根本思想があるわけだが、実際にその根本思想が妥当であるか否かの検証はなされていないのではないか、というのが本研究の成果の1つである。すなわち、確かに商取引から生じる債権については、その流性が確保された方が社会経済的に望ましいかもしれない(ただし、その場合であっても、債務者の相殺期待をいかに取り扱うべきかという問題があることには注意を要する)。しかし、無償契約や消費者契約という生活世界に立脚する債権につき、その債務者を保護するとの観点から、譲渡禁止ないしそれに類似する法的保護(具体的には、譲渡後に発生した事由についても、それを抗弁としうること)を認めることは、むしろ望ましい政策である可能性があり、すると、債権の発生原因ごとの分析に進むべきこととなるはずなのである。 本研究の第2の成果は、上記のうちの1特に消費者契約について検討を進め、特に団体訴権につき、2つのシンポジウムで報告を行ったことである(公表に備え、既に加筆・修正の作業も行っている)。そこでは、単に消費者契約そのものだけでなく、団体による差止請求や損害賠償請求といったスキームを通じて、消費者の目線に立った市場規制のあり方まで視野に入れられているのである。
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