研究概要 |
研究最終年である本年は,これまでの研究を踏まえた最終的なとりまとめに向けた作業を行うと同時に,新たに,平成17年度の会社法改正における国際会社法の問題の取扱いに関する分析を行った.後者は,本研究課題申請時点においては予想されていなかった問題であるが,昨年の実績報告においても若干触れたとおり,新会社法はこの問題について積極的な対処を行うものであることが分かった時点から,重要な検討対象として課題に取り入れることとした.特に,立法担当官の解説によると,新会社法は,従来の議論とは次元の異なる手法によって問題の解決を図っているようであり,そうだとすれば,国際会社法に与えるインパクトは非常に大きく,その適否の分析は不可避である.その研究結果は,次に述べる『国際会社法研究』に収録することを予定しているが,特に緊急性を要すると思われるトピック(たとえば外国市場における社債発行の取り扱い等)については,別途,雑誌論文としての公表を考えている. 研究成果のとりまとめとしては,第1に『国際会社法研究』(共著の論文集)の編著という形で,体系的な成果を公表する方向が確定した(出版社との出版計画も確定).これに加えて,新会社法関係に関しては,上述の通り,別途,雑誌論文による公表を考えている.さらに,国際会社法という性格上,海外に向けた情報発信も必要である.このため,平成17年度は,英文による成果の公表も積極的に行った.Japanese Annual of International Lawに,わが国の国際会社法の現況をレビューする論文を掲載した.また,より一般的にわが国の会社法の変化やあるべき会社法の政策目標を議論する英文の論文をアメリカの法律雑誌において公表した(研究発表の欄の記載参照).
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