研究課題/領域番号 |
15530060
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
能見 善久 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (50009841)
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研究分担者 |
大村 敦志 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (30152250)
廣瀬 久和 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (30009849)
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キーワード | 公益法人 / 非営利団体 / アソシアシオン / 利益相反 / 結社の自由 / 法人格 |
研究概要 |
今年度は、非営利団体ないし公益的団体のあり方を、その理念、組織・ガバナンス、社会的機能の側面から検討した。 理念という観点からは、非営利活動を目的とする人の集団に法人格を与えることの正当化根拠は何かを検討した。人の集団は、法人格を取得しなくても単なる「団体」として活動することは可能である。そのことから、従来は、団体活動の自由は、結社の自由などの憲法的価値から正当化できるが、法人格取得の自由までは認められない、とされてきた。しかし、積極的に公益とはいえない非営利団体の活動も、社会連帯などもとらす点で公益的であり、公益と非営利は連続的区別できない。このような視点から非営利団体に法人格を与える意義を、フランスのアソシアシオン法の分析を通じて検討した。 組織・ガバナンスとの関係では、公益的団体で重要なのは、寄付者が安心して寄付できる組織、ガバナンスが存在することである。この観点からは、「利益相反の回避」が重要である。すなわち、その団体ないし法人の理事や構成員が団体活動について固有の利益を有していると、寄付金が法人の理事や構成員の利益のために使われる心配があるために,寄付をしようとする者が躊躇する。公益法人ないし非営利法人では、その構成員に経済的な持分権、利益配当請求権がないために、このような利益相反が生じない構造になっている。ここに、特に公益法人の積極的な意義がある。理事については、無報酬ないし報酬制限が有効である。また、公益事業遂行義務、内部留保の制限のあり方についても更に検討する必要がある。 社会的機能との関係では、特に、マーケットの構造との関係で、どのような団体組織がどのような役割を担うかを分析した。特に、業界団体に着目した。ある業界団体は法人化しているが、他の業界団体はむしろ任意組合を選択する。このような違いは何に由来するか。要因の1つとして、その業界のマーケットの構造が関連する。しかし、この点の詳細な検討は、さらに継続する必要がある。
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