本年は、研究計画に従い、調査の基本計画の策定、調査事項の決定、調査の実施を行った。研究の基本計画では、今回のフォローアップ調査の対象となった平成12年実施の司法制度改革審議会の「民事訴訟利用者調査」の調査対象地に従い全国の10地域、20市町村を対象に、4000人に対して無記名郵送調査を行うことを決定した。調査都市の選定は、民事訴訟利用者調査の対象土地に合わせたが、さらに具体的に対象者を抽出した市区町村は、選挙人名簿の閲覧の難易によって若干の調整があった。調査項日の選定は、やはり、民事訴訟利用者調査の項目を参考に、弁護士へのアクセスについての質問や、訴訟制度の評価に関する質問に関しては、民事訴訟利用者調査の質問項目と同一のものを用い、訴訟利用動機や訴訟手続評価、裁判官評価、弁護士評価に関しては、一般には訴訟経験のない人が大半であろうという前提から、「もし訴訟をしたならば・・・」といった仮定的な質問を設定し付け加えることとした。 予算の確定が後期にずれ込んだことから、調査計画の確定、調査用紙の確定に時問を要し、実際の調査用紙の配布は年明けにずれ込んだ。現在、配布を終え、回収に当たっているが、現時点で1200通を越える回答が返送されており、回収率は30%を上回っており、調査自体としては、それなりの信憑性を確保できる水準に至ったものと思われる。これらの成果を踏まえ、来年度はデータ分析にあたり、弁護士へのアクセス状況や訴訟制度の評価などにつき、実際に訴訟を利用したものとそれ以外とに差があるのか否か、訴訟に対する期待などの点において、訴訟利用者と訴訟経験のない一般市民との間において差があるのか否かなどを検証する予定である。それによって、平成12年時点では確認することのできなかった、民事訴訟利用者とそれ以外のものの評価の差を明らかにする予定である。
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