研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、一般的な契約法理として、契約プロセス(契約の締結交渉から履行、さらに履行後の関係にかかわる一連の過程)における「交渉力濫用」を規制する民事法上の法理の可能性をさぐることにある。具体的には、3つの視点から検討を進めた。1 交渉力濫用規制の意味の明確化--民事規制と行政規制の同質性と異質性独占禁止法上の「優越的地位の濫用」規制は、行政による交渉力濫用規制である。この問題が、民事規制としてはどのように扱われるかを検討するための基礎作業として、コモンローにおける《既存義務の準則pre-existing duty rule》の沿革について検討を行い、民事規制の独自性についての試論をまとめた。2 交渉力濫用規制の理念的基盤となる契約法パラダイムの検討交渉力濫用の民事規制とは、当事者の私的秩序形成(private ordering)に国家法がいかに対峙すべきかという問題でもある。その観点から、private ordering論についての基礎的・比較法的考察としてUCC第2編にみられる契約法パラダイムの検討を行った。3 交渉力濫用法理の比較法的・法技術的検討(1)著作権ライセンス契約における著作権の譲渡、または、ライセンサー倒産時に生じうる、新たな著作権者による交渉力濫用に対応するための法制度のあり方を検討した。(2)売買契約において物的瑕疵のある商品が引渡された場合の、買主の救済過程において生じうる交渉力濫用(機会主義的行動)の規制について、CISG、UNIDROIT国際商事契約原則と日本法との比較法的考察を行った。(3)いわゆるADR法の制定に関連して、ADR係属中の時効完成を阻止するための法制度のありかたについて検討を行った。この成果は研究発表という形では公にできなかったが、パブリックコメントとして司法制度改革推進本部に提出した。
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比較法研究 68号(近刊予定)
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国際契約ルールの誕生(絹巻康史・齋藤彰【編】)(同文館出版) (近刊予定)
民商法雑誌 134巻3号
ページ: 509-524
民商法雑誌 134巻2号
ページ: 299-327
民商法雑誌 134巻1号
ページ: 107-131
Minshoho-zasshi Vol.135, No.1(to be published)
Soft Law Journal No.6(to be published)
The Birth of International Contract Rules (KINUMAKI, Yasushi & SAITO, Akira (eds.)) (Dobunkan-Shuppan)
Minshoho-zasshi Vol.134, No.3
Minshoho-zasshi Vol.134, No.2
Minshoho-zasshi Vol.134, No.1
知的財産法政策学研究 9号
ページ: 135-168
北大法学論集 56巻1号
ページ: 264-276
民事法III債権各論(鎌田薫ほか【編】)(日本評論社)
ページ: 76-89
名城法学 54巻3号
ページ: 218-222
Intellectual Property Law and Policy Journal Vol.9
The Hokkaido Law Review Vol.56,No.1
Private Law III (KAMATA, Kaoru et al. (eds.)) ( Nippon-Hyoron-Sha)
Meijo Law Review Vol.54, No.3
インターネット法情報ガイド(指宿信・米丸恒治【編】)(日本評論社)
ページ: 243-253
知的財産法政策学研究 3号
ページ: 185-194
Law on the Internet (IBUSUKI, Makoto & YONEMARU, Tsuneharu (eds.)) (Nippon-Hyoron-Sha) p.243-253
Intellectual Property Law and Policy Journal Vol.3
Shojihoumu 305 pages