研究概要 |
アメリカ合衆国の民事執行手続きは州法に委ねられている。本年度は,各州の規定や実務書を収集しつつ,唯一大陸法系であるルイジアナ州の抵当権実行手続き,とその手続きの担い手であるシェリフについて研究をした。 ルイジアナ州法でも,不動産抵当権(conventional real mortgage)者は,判決を取得せず目的物件を裁判所による競売にかけることができる。ルイジアナ州の抵当権実行手続きは以下の通りにおこなわれる。 申立てと同時に管理人の選任がなされる。申立て後1日以内に支払い命令が発せられ,差押通知が発せられる。その後1日以内に,差押通知が登記される。その後,2・3日内に債務者に対する支払い要求が送達される,債務者に対する不動産差押通知の送達が3・4日内になされる。第1回目の競売公告が地元紙に7-8内になされる。ウェブ上でも情報(これは3週間まえに入手可能な競売物件リストと同等な情報)は公開される(写真を含む)。競売物件への事前の立ち入りは許されていない。競売物件についての情報は住所と外部からの写真のみ。もちろん買いうけ後の品質保証もない。競売前21日より前にシェリフが抵当権の証明書を要求し,評価人の選定通知がなされる。申立て後36-38日内に2回目の競売公告がなされる。申立て後38-40日内に評価人の報告書の提出がなされる。競売前にシェリフの手数料について取り決められ,裁判所のロビーで昼休み時間に開催される。競売がなされるのは,理論的には申立て後43-45日となるはずであるが,競売申立数が多く処理しきれず,現実には手続きが遅れがちであるという。最低競売価格は,(1)鑑定がなされていれば,その額の2/3,(2)鑑定がなされていなければ,総債権額+費用+手数料である。競り落とした人は,代金の10%を現金で支払う(債権者の指定により全額支払いが求められる場合もある)。
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