研究概要 |
15年度は、OECDやドイツ、EUでのでの拡大生産者責任についての検討の推移、導入の経緯・理由・実施上の問題点、および、韓国での容器包装や家電のリサイクルの実施とその問題点などについて文献調査、実態調査、比較研究を行った。 1 拡大生産者責任についての検討 生産者に環境負荷の少ない製品を設計・製造するインセンティブを与えるという拡大生産者制度の目的からみて、その核心は、リサイクル費用を第1次的に生産者に負担させることで、製品価格にその費用を上乗せさせることにあるということが再確認された。しかし、最近のOECDの拡大生産者責任に関するガイドラインでは、この点が後退している。 2 韓国での容器包装リサイクル・家電リサイクルの実施状況の調査 2003年から導入された生産者責任制度は,製品製造者や容器包装利用生産者にその廃棄物に対して,一定のリサイクル義務を課ことで、生産者によるリサイクルの促進を図ることを目的とするものである。この制度は,その対象品目が広く,かつ生産量に応じたリサイクル義務量が課され,その不履行の場合には加算金を加味した賦課金が課されるという点で,日本法以上に,生産者のリサイクル責任は強化されている。しかし、電子製品を除いて,回収とその費用が自治体の負担となっているので、生産者はリサイクルシステムにかかる費用の一部しか負担していないという点で,日本法と同様に拡大生産者責任は不徹底である。 韓国における廃棄物政策は生産者責任制度のみで判断することは出来ない。廃棄物減量化ひいては発生抑制のためには、複数の手段が組み合わされている。その中で注目すべきは、家庭ゴミの減量化に大きく効果を挙げているゴミ従量制(ゴミ有料化)制度と容器包装を含む使い捨て用品規制である。特に、後者は容器包装を含めた一回使用用品の廃棄物の減量化ばかりかリターナブル用品の増加など、発生抑制に効果を挙げている。
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