研究課題
基盤研究(C)
本研究は、意匠法と商標法の2領域につき、インターネット技術進展に応じた法改正案、すなわち、意匠分野から、(1)コンピュータや携帯電話のダウンロード画像の意匠保護の可能性を、商標分野から、(2)「香り」の商標の保護適格性、(3)商標の検索エンジンにおける使用、以上の3分野の改正案を模索する研究である。研究当初は、各分野について、1)諸外国(先進国)の立法例、裁判例等収集、2)改正方向性の検討を行う予定であった。第一の意匠法につき、ディスプレイに表示する目的で創作された画像データを「意匠」とみなす等、いくつかの条文改正の可能性を検討したが、批判的検討対象と予定されていた審議会報告が当時まとめられず、方向を変更し、冒認(真の創作者でない者が出願してしまうこと)の場合の取扱いにつき、特許法と意匠法との考え方を同一にすべきかという問題を扱い、成果とすることができた。第二の「香り」の商標は、英米等法制に一定の登録例が確かめられたが、「香り」を電子データに翻訳する技術の実用化を前提に出願等を設計した例はないようであり、より注目すべき点を明らかにできた。実際に香りで商品を識別することは少ないが、市場における識別標識多様化の実情を考えると制度設置の必要性があるという結論である。第三の検索エンジンによる使用は、メタタグにおける他人の商標と同一の文字列の使用が商標の使用になるという考え方(米国判例)と、商標の使用にならないとする考え方の対立を検討し、ポップアップ広告や、キーワード広告(キーワードバイ)等同種の議論についても検討した。当該文字列の表示の有無で結論が異なり、メタタグー律に論じられないという結論である。なお、後者につき、研究期間終了間際に、キーワードバイと呼ばれる領域の重要裁判例がアメリカ合衆国とフランスにおいて公表され、結論が異なると判明したが、検討時間不足のために十分な検討は次の機会に委ねられた。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
別冊ジュリスト特許判例百選第3版
ページ: 52-54
Bessatu(Appendix)-Jurist, "Patent law cases" 3^<rd> ed.