研究課題/領域番号 |
15530085
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
権左 武志 北海道大学, 法学研究科, 教授 (50215513)
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研究分担者 |
田口 正樹 北海道大学, 法学研究科, 教授 (20206931)
山本 文彦 北海道大学, 文学研究科, 助教授 (30222384)
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キーワード | 帝国 / 皇帝権 / ウェストファリア条約 / 帝国郵便 / 主権概念 / ライン同盟 / 帝国愛国主義 / 正戦 |
研究概要 |
1.中世:トリーア大司教バルドゥインと14世紀の帝国国制との関係について5月のドイツ史研究会で中間報告を行い、エドムンド・シュテンゲルの学説とそれに対する近年の批判をつきあわせて論点の明確化を図るとともに、代表的な史料の紹介と検討を行った。またバルドゥインを評価する前提として、彼の実兄である皇帝ハインリヒ7世の支配構想を、ナポリ王ロベルトに対する訴訟をはじめとする彼の大逆罪訴訟を手がかりとして探求した(業績(4))。その結果、彼の支配権主張においては、普遍的皇帝権による世界支配要求よりも、皇帝との個別的忠誠関係の方がより重要であった点が明らかになった。 2.近世:本年度の研究は主に二つの分野で行われ、8月のドイツ史研究会で報告された。一つは、昨年度から引き続き行っているウェストファリア条約の分析である。この作業は、ウェストファリア条約は主権国家を法的に保証したという従来の評価を、条文全体の分析から再検討することを目的としており、これにより近世ドイツにおける主権あるいは支配権の実態を具体的に把握できると考えられる。もう一つは、近世ドイツにおける国家の重要な活動領域として郵便事業に注目し、帝国郵便に関する論文をまとめて、帝国と領邦国家の権力関係を具体的に把握するように努めた(業績(5))。 3.近代:近世帝国における主権概念の受容と一九世紀の帝国解体期における主権概念の再生について、12月のドイツ史研究会及びヘーゲル研究会で「帝国の崩壊と国家主権の自覚」と題し報告した(来年度公表予定)。また次の研究段階であるライン同盟の主権概念をめぐる論争について、昨年3月ドイツ史研究会で行われたシュック博士の講演を翻訳し、業績(3)として公表した。更に二〇世紀における主権概念の対外的展開に関する発展的研究の萌芽を、業績(1)として公表した上で、本年2月21日一橋大学COEプログラム・ワークショップで「二〇世紀における正戦論の展開」と題し続編を報告した(近日公表予定)。
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