本研究の第1の目的は、ドイツ政治を中心とした、先進諸国政治の現状分析である。そのために、設備備品費を利用しながら、先進諸国政治研究の文献を年度初めから系統的に収集してきた。さらに2004年1月にはドイツを訪問し、ハイデルベルク大学現代政治研究所のメルケル教授・シュミット教授らへのインタビューを通じて、現代ドイツ政治研究の状況に関する調査を行った。この時に合わせて、フランクフルト市にある社会民主党事務所と、ヴィースバーデン市にある緑の党の事務所を訪問し、資料収集と聞き取り調査をも実施した。これらの成果は、「シリーズ比較の中の現代ドイツ政治」と題する論文で公表する予定であり、2004年3月には、同シリーズの第2論文「比較の中の現代ドイツ政治序論」が『名古屋大学法政論集』に掲載された。 本研究の第2の目的は、比較政治理論の検討であり、このテーマに関しても、設備備品費を活用しながら文献収集を行っている。また、本研究代表者が「研究分担者」を務めている他の科学研究費を利用して、平成15年4月と8月にアメリカ合衆国を訪問し、比較政治理論に関する国際研究会議に出席して、知見を広めるとともに各国研究者との議論も行った。この成果の一部は、「拒否権プレーヤー」研究として進められた。その後平成16年3月には、イタリアにおける比較政治研究の中心である2つの機関-ミラノ大学とヨーロッパ大学機構-の政治学研究者を訪問し、聞き取り調査を行った。これらの作業を踏まえ、本研究における新たな目的として、比較政治理論による「比較民主化過程研究」をめざすこととなった。そのために平成15年11月に韓国を訪問し、韓国の政治学研究者との議論も行った。新たな政治学理論を追求するこれらの研究の一部は、「法科大学院の政治学には何が必要か」(東大出版会『UP』2003年12月号掲載)にまとめられた。
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