平成15年度の最大の焦点は民主化以降の政党の変化である。調査項目は、(1)有権者の投票行動、(2)選挙における政党の活動力点、(3)党内意思決定構造、に分かれる。(1)(2)については、韓国の選挙政治研究会の研究文献を収集し、検討した。この結果、民主化後、有権者の投票行動は伝統-近代の価値をめぐる対立軸から、出身地域をめぐる対立軸へと劇的に変化し、その変化は現在まで続いていることがわかった。選挙活動の力点も、民主化から与野党ともに地方利益の実現へと変わった。(3)については政党研究に関する既存文献を検討し、与野党ともに政党ボスが決定構造を支配していることが明らかになった。もう一つの焦点である経済政策の変化については、(4)財政支出の構成変化と、(5)政策金融の構成及び総与信に対する比重を調査した。(4)は、地方自治体への補助金金額決定に何が影響を与えているかを調べた。チョンサンギョンの研究で述べられた、民主化後財政による利益誘導がおこなわれるようになったとの見解は、盧泰愚、金泳三政権については確認できるが、金大中政権についてはいえないことがわかった。(5)については、政策金融による金融資源配分の歪みは金泳三政権まで大きな変化が見られないが、金大中政権になって劇的に減少していることがわかった。
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