本年度は研究2年目であり、初年度に行ったEUによる民主化支援政策の分析を更に進めるとともに、他の国際機関による民主化支援政策の分析をも進めることを意図した。 そのため、本年度はベルギー等での現地調査を実施した。EU関係者などからの聞き取り調査によって、前年度の課題であったEU委員会による支援とEUメンバー国の支援の関係について研究を深めることができた。その結果、EU委員会と、メンバー国諸国の外交政策の調整を担当する理事会事務局の間でほとんどコミュニケーションがなく、EU内部においても調整が必ずしも十分に行われていないことが明らかになった。EUによる民主化支援政策の分析にあたっては、EU委員会・理事会・メンバー国という三層構造に着目しなければいけないことが明らかになった。 他の民主化支援に関わる主体として、国連開発計画(UNDP)が重要であるが、本年度は上記海外出張において、極めて短期間であったが国連開発計画オスロ・ガバナンス・センターを訪れ、同センターの活動の概要について同センターの所長をはじめとするスタッフと意見交換を行った。その結果、同センターは、現在ではUNDPの柱の一つとなっている「民主的ガバナンス支援」において、特に紛争と民主的ガバナンスの関係に最近注目が集まっていることが理解できた。またUNDPにおいて民主的ガバナンスを援助プログラムの中でメインストリーム化することがいかに困難であるかも判明した。(了)
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