• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 研究成果報告書概要

冷戦史研究-北極圏地域における冷戦の展開-

研究課題

研究課題/領域番号 15530108
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 国際関係論
研究機関東海大学

研究代表者

池上 佳助  東海大学, 文学部, 助教授 (40307294)

研究期間 (年度) 2003 – 2006
キーワード国際関係史 / 冷戦史 / 北欧地域研究 / 北極圏 / 北欧・米国・ソ連関係
研究概要

1.歴史事象としての冷戦が完結したことにより、現在、改めて冷戦史研究の現代的意義が問い直されている。それは「冷戦期の冷戦研究」から「冷戦後の冷戦史研究」への脱却とも言えるものであるが、そこで論議される新しい冷戦史研究は、これまでのヨーロッパを主舞台とした米ソ両陣営のパワーをめぐる対立構造の分析を中心にしたものから、旧ソ連・東側諸国の新史料を活用しつつ、冷戦とヨーロッパ周辺部あるいは第三世界の変容との関係や冷戦が政治・軍事分野にとどまらず経済・社会・文化全般に与えた影響をグローバルかつトータルな視点から捉えようするものに変容しつつある。
2.本研究は、欧州冷戦史でも余り取上げられない欧州北辺の北極圏を取上げ、この地域が冷戦構造にどう組み込まれてきたのかをマルチアーカイバルなアプローチを用いて実証的に解明することを主目的としていた。具体的には北極海にあるノルウェー領スヴァールバル諸島、デンマーク領グリーンランド及びアイスランドを包含した北極圏地域を設定し、44年から47年にかけてのいわば冷戦の「萌芽期」に米ソの戦後秩序構想の中にどう位置付けられ、それが欧州中央との関係の中でどのような影響を及ぼし、あるいは受けてきたのかを調査・分析してきた。
3.研究成果の概略を述べれば以下のとおりである。
44年に入ると、米ソ両政府部内では近い将来のドイツ降伏を見据えた戦後構想の検討に取り掛かった。その中で、米国は第二次大戦当初よりナチスからの防衛を目的に軍事駐留していたグリーランドやアイスランドに対し、米本土の安全保障の観点から戦後も駐留の継続、長期基地貸与を強く要求するようになった。一方、ほぼ同時期にソ連は北部ノルウェーの解放・占領に続き、軍事戦略、補給航路の確保の必要からノルウェー領スヴァールバル諸島の共同統治を提案。しかし、デンマーク、ノルウェーは未だナチスの占領下にあり、アイスランド政府やノルウェー亡命政府(ロンドン)にとっては米ソの要求は余りに唐突で、45年中に極秘裏に進められた交渉は北欧側の反発・不安もあり難航した。一方、米ソ両国は相互に相手側の北極圏への動きを表面上は批判しながらも積極的な介入の意思は示さなかった。このことは欧州中央で展開されていた「勢力圏分割」が欧州北辺の北極海でも暗黙裡に展開されていたといえるのではないか。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2007 2005 2004

すべて 雑誌論文 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] History Beyond National Borders2007

    • 著者名/発表者名
      池上佳助
    • 雑誌名

      東海大学文明研究所『文明』 第10号(未定(脱稿済))

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] History Beyond National Borders2007

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Ikegami
    • 雑誌名

      Civilization No.10

      ページ: n.n

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [雑誌論文] 北極海をめぐる冷戦の展開(2)-スヴァールバル問題を中心に2005

    • 著者名/発表者名
      池上佳助
    • 雑誌名

      東海大学文明研究所『文明』 第6号

      ページ: 81-92

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] A Development of the Cold War in the Arctic Ocean (Part 2); A Study on the Svalbard Question2005

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Ikegami
    • 雑誌名

      Civilization No.6

      ページ: 81-92

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [雑誌論文] 北極海をめぐる冷戦の展開(1)-スヴァールバル問題を中心に2004

    • 著者名/発表者名
      池上佳助
    • 雑誌名

      東海大学文明研究所『文明』 第5号

      ページ: 43-51

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] A Development of the Cold War in the Arctic Ocean (Part 1); A Study on the Svalbard Question2004

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Ikegami
    • 雑誌名

      Civilization No.5

      ページ: 43-51

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [雑誌論文] A New Shadow in the Norwegian Foreign Policy after the World War II2004

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Ikegami
    • 雑誌名

      (ed.) Makoto Murai & Takayasu Okushima, Norwegian Sociaty], Waseda University Press

      ページ: 65-83

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [図書] ノルウェーの社会(村井誠人・奥島孝康編)2004

    • 著者名/発表者名
      池上佳助
    • 総ページ数
      225(65-83)
    • 出版者
      早稲田大学出版部
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

URL: 

公開日: 2008-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi