研究課題/領域番号 |
15530110
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
鈴木 規夫 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (70271468)
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研究分担者 |
高 明潔 愛知大学, 現代中国学部, 助教授 (60260113)
樋口 義治 愛知大学, 経済学部, 教授 (00131128)
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キーワード | イスラーム / 中国 / 回民 / ナショナリズム / 寧夏回族自治区 / 宗教の近代性 / 少数民族宗教政策 / タウヒード |
研究概要 |
研究期間最終年度となった16年度には、中国におけるイスラーム研究の現状とムスリム共同体の実態を探る、非常に大きな成果をうることができた。 それはすなわち、すでにこれまでの研究実績において中国国内の回民研究機関、グループなどとも具体的なコンタクトを取ることが可能となっていたのだが、17年度にはさらに新たな学術協力関係の構築を求めて、寧夏社会科学院回民研究所と北京大学国際関係学院との研究交流の深化をはかった。 2004年9月には寧夏社会科学院において開催された回民研究ワークショップに鈴木、高、樋口の三名が参加し、それぞれが本プロジェクトの主題に相即したテーマの下に研究報告を行い、活発な意見交換を行ったばかりでなく、寧夏回族自治区のムスリム各派の共同体へのフィールドワークを実施し、つぶさにその生活実態を観察するとともに、それぞれのムスリム共同体において知的権威を構築しているアホンなどがどのようにリクルートされ、どのような教養を積んでいくのかなどについても、よく知るところとなった。 また、10月には北京大学国際関係学院において本プロジェクトの研究主題を軸とするワークショップを実施し、北京大学の研究スタッフばかりでなく、中国ムスリム協会や北京社会科学院宗教研究所などのイスラーム研究専門家に加え、さらに日本からも研究協力者の参加をえて、活発に意見を交換することができた。 以上のように、現代中国におけるイスラーム研究の現状を探りつつ、欧米、中東などのイスラーム研究者が中国をどのように理解し位置づけようとしているのかを相互的に探っていくことを目的とする、17年度本プロジェクト事業計画は、予算などの問題から規模を縮小せざるを得なかったとはいえ、十分な成果をあげることができた。今後はこの成果をよく整理し、中国内のイスラーム研究やイスラーム理解がどのような構造をもっているのかをより一般化していく必要がある。そこから、対象としての中国がもつその複合性重層性をイスラームという視角から浮かび上がらせることが可能となるである。
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