今年度は東京を中心に政府関係者、ジャーナリスト、研究者らと、1990年代前半の日米関係についてインタビュー調査をおこなうとともに、ワシントンでも政府関係者、研究者らにインタビュー調査を実施した。レーガン政権からブッシュ政権にかけての、共和党保守派のイデオロギーの継続性とともに、冷戦の終結をうけてのブッシュ政権の対アジア政策、特に対日政策立案過程の多元化を確認した。 この時期は、国内的にはいわゆる「ネオコン」の影響力が潜在的に拡大していった時期であり、対外的にはアメリカのアジア政策が対日重視と対中重視で錯綜した時期である。また、国務省、国防省、ホワイトハウス、言論界の相互作用がいっそう複雑化した時期でもある。こうした政策決定過程の多元化が、対日政策の形成にも影を落していることを解明することに努めた。
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