研究課題/領域番号 |
15530127
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
須賀 晃一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00171116)
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研究分担者 |
藪下 史郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30083330)
飯島 昇蔵 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80130863)
船木 由喜彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50181433)
若田部 昌澄 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00240440)
梅森 直之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80213502)
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キーワード | 価値理念 / 正義 / 衡平性 / 効率性 / 公共性 / 経済制度 / 金融制度 / デモクラシー |
研究概要 |
理念と制度という社会の二つの側面に政治学・経済学・法学からアプローチし、それらの相互連関を明らかにすること、新たな政治経済学のモデルを構成し、政治経済学の再構築を図ることが本研究の目標である。最終年度である本年度は、分配的正義と平等、効用対権利・自由、世代間衡平性といった最近さまざまな分野で重要な役割を果たす理念の理論的な整理に基づき、次のような結論を導いた(詳細については、藪下・須賀・若田部編『再分配とデモクラシーの政治経済学』東洋経済新報社、2006年3月、を参照)。(1)政治制度・経済制度と経済発展・経済的成果の間には完全な対応関係はないが、民主的政治制度は市場経済を要請する。(2)市場経済の理念は自由と効率性であり、デモクラシーの理念は人格の尊重と公平性である。福祉国家によって両者の理念の両立可能性が追及されたが、実際の両立には厳しい条件が必要である。一般に市場経済の理念とデモクラシーの理念は矛盾し、制度としての市場とデモクラシーも対立する。(3)市場の失敗を克服するために登場した政府もまた失敗する。その規模は市場の失敗を上回るかもしれない。これらの問題の理念的・政策的解決が今後の課題である。 これらの結論を導くために、定例の研究会、ならびに内外の研究者を招いての研究会を行った。定例研究会22回(海外からの講演者は12名、国内他大学の講演者は8名、学内他学部4名)、シンポジウム2回、連続講義2回である。さらに、2005年末には21世紀COE-GLOPE、中国人民大学、経済学研究科オープンリサーチセンター整備事業との共催で、国際シンポジウム「開かれた政治経済-競合、協調、刷新」を中国人民大学において開催した。さまざまなシンポジウム、ワークショップを通じて、われわれの結論の正しさを確信するに至った。
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