研究課題/領域番号 |
15530128
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
角田 修一 立命館大学, 経済学部, 教授 (20102163)
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研究分担者 |
佐藤 卓利 立命館大学, 経済学部, 教授 (60178746)
田中 宏 立命館大学, 経済学部, 教授 (10163560)
松井 暁 立命館大学, 経済学部, 助教授 (90238931)
藤岡 惇 立命館大学, 経済学部, 教授 (80104868)
内山 昭 立命館大学, 経済学部, 教授 (70140829)
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キーワード | 社会経済学 / 人間開発(発達) / 制度進化 / 経済価値規範 / 福祉経済 / ラディカル派経済学 / マルクス経済学 |
研究概要 |
古典派経済学以来のPolitical Economyは、現在、各潮流や諸学派がそれぞれ何を明らかにし、どのような理論枠組みのschoolであったかを示し、それによりそれぞれの学派の「配置図(あるいは立体的な配列:configuration)」を描くことによって、21世紀における社会経済学の新しい理論構築と転換(transformation)をはかる必要がある。これがわれわれの立てた研究課題である。 初年度は、各分野の研究分担者から、それぞれの分野の研究対象領域における研究状況や課題について報告をうけ、分担者外からKang-Kook Lee(立命館大学助教授)氏を招きCurrent State of Political Economy Research in Korea and Americaというタイトルで発表をうけ、その都度、議論を行った。また、それぞれの分野で現在の日本と世界の経済が当面する問題を解説しながら、社会経済学の新しい理論へと誘う新たな入門書を刊行した。(角田修一編『社会経済学入門』大月書店、2003年9月刊行) こうした共同の研究および作業の積み重ねの結果、分担者の間には次のような点でほぼ共通理解が得られてきた。 1つは、経済をおおう新しい波についての理解である。それは、(1)経済のグローバル化が世界大の競争を加速させている結果として、世界的な寡占(独占)状況が進展していること、(2)技術革新の新しい波の結果として、人間性と諸能力における新しい質が求められていること、(3)経済における国際的な規模での民主的な規制あるいは規制の再構築の必要性が高まっていること、の3つに集約できる。2つめには21世紀型経済体制の課題として4つのものがある。それは、(1)グローバルな新たな覇権に対抗する平和的な経済協力をすすめる課題、(2)安全・安心経済の構築という課題、(3)環境保全型経済の構築の課題、(4)人間性とアイデンティティの危機を克服し人間力を再生・復活する(人間開発=定常型経済)構築の課題、の4つである。 以上の現状と課題に関する共通理解は、各分野をこえて、今後、Political Economyの各潮流・学派の位置を明確にしていく際の基準になるものと思われる。 2004年度は、社会的市民としての個人を軸とする、環境、コミュニケーション、調整、人間発達などをキイワードとする21世紀の新しい社会経済学の構築にむけて、その中心となる諸概念あるいは理念のよりいっそうの明確化にむけ、さらに研究の共同化をはかっていく予定である。
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