研究課題/領域番号 |
15530130
|
研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
松嶋 敦茂 滋賀大学, 経済学部, 教授 (00024935)
|
研究分担者 |
梅澤 直樹 滋賀大学, 環境総合研究センター, 教授 (50093563)
長尾 伸一 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30207980)
吉川 英治 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (80263036)
平野 嘉孝 富山県立大学, 工学部, 講師 (80305482)
|
キーワード | パラダイム / 再生産 / 希少性 / 公共性 / モラルサイエンス / 実証科学 / 規則 / 環境問題 |
研究概要 |
昨年度の本研究プログラムの遂行を通じて、「公共性」という概念の重要性が再認識され、本研究プログラムの柱石をなすキーワードである「再生産」についても、経済活動を支える日常意識ないし経済倫理の再生産が焦点化された。本年度はこの成果を継承し、一方でゲストスピーカーを招いた研究会においてドイツ歴史学派などにも視野を広げながら経済・社会思想史の総体的把握を補ってゆくとともに、他方で「再生産VS希少性」という視軸に加えて「モラルサイエンスVS実証科学」という視軸を定立し、両軸を縦横に用いた4象限のなかに諸経済理論を位置づけて、各理論の特質を浮き彫りにするという試みを追求した。 そうした研究成果は、研究代表者松嶋敦茂の著作『功利主義は生き残るか』(草書房、平成17年5月刊行予定)のうちに結実した。さらに、研究会に招いたゲストスピーカーからの寄稿をも含めて、本プロジェクト研究参加者の研究成果をまとまったかたちで公刊すべく、年度最終四半期に精力的に研究会を重ね、総計8名の論文から成る報告書を準備中である。それらは、古典派から現代経済学までを含む多様な経済理論・思想を対象にした諸考察となっている。また、松嶋が打ち出した上記二つの視軸での諸経済理論の類別に豊かな示唆を得ながらも、各考察はその対象理論・思想に即して多彩な相貌をもって展開されているが、そもそも本研究プロジェクトの背景としての現代社会が直面している時代的課題の複雑さを念頭に置けば、そうした多彩さも魅力のひとつと解される。こうして、報告書は、経済学・経済思想史に学びながら「現代経済学のあるべきパラダイム」を求めるという本プロジェクトの課題への挑戦として、なかなかに興味深い内容を包含していると解される。
|