研究課題
基盤研究(C)
この研究は計画書の予定通り、次の2つの大きな成果を上げることができた。1.2004年1月31日(土)に学術総合センターで行った国際セミナー「ベヴァリッジの経済思想とその後」(英語のみ)の開催が、初年度の最大の成果である。英国からAlan Booth博士(Exeter U)を招き、基調講演「イギリス福祉国家の視点:ボブソンからサッチャーまで」を発表してもらった。この中で3人の知識人が福祉国家の展開とともに、国家と市民の関係そして社会と経済の関係を議論する基盤になったことが示された。続いて小峯による「ベヴァリッジの経済参謀」が発表された。ここでは福祉国家の提唱者であるベヴァリッジが、いかに管理経済を初期から提唱し、その影響力がケインズの失業救済策を含む経済政策助言活動につながったかを示された。2.総合セミナー「福祉国家の経済思想:自由と統制の混合」2005年2月19日土曜、中央大学駿河台記念館、10時半から18時まで)の開催が、二年目の最大の成果である。5人の発表者それぞれに討論者を付け、経済学史・社会学・法哲学を専攻する若手研究者を中心とした討論を行った。研究代表者はこのセミナーの組織者・討論者・総括コメント者という役割を担った。報告者・討論者との事前うち合わせやメール交換において、本研究テーマを深めることになった。なお当日の報告論文とコメントを冊子にした。以上のセミナーを中心に、ベヴァリッジの初期・中期・後期の社会思想(社会保障論)と経済思想(失業論)を接合し、総合的な観点から彼を経済学史上に正しく位置づけることができた。労働市場の創造と社会保険を結ぶことで、国家の義務(完全雇用と社会保険)と市民の義務(自発的活動)の三重社会をベヴァリッジは企図したのである。なお2.は研究成果促進補助金を申請した後、ナカニシヤ出版から出版予定である。
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すべて 雑誌論文 (16件)
市場と知識(深貝保則編)(ミネルヴァ書房) (出版予定)
ページ: 1-42
A paper presented at the International Workshop, "Cambridge School of Economics", 27 February
ページ: 1-28
A paper presented at the International Workshop Cambridge School of Economics : Welfare Economics and the Welfare State (Sano Shoin, Hitotsubashi University)
経済学史学会・年報 45号
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The European Journal of the History of Economic Thought 11・2
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別冊『環』(藤原書店) 9号
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A paper presented at the HES 2004, Toronto University, 26 June
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Annals of the Society for the History of Economic Thought (in Japanese) No.45
The European Journal of the History of Economic Thought 11(2)
Kan, Supplement Series 9, (Tokyo : Fujiwara Shoten) (in Japanese)
A paper presented at the HES 2004, History of Economics Society, Toronto University
新潟産業大学・経済学部紀要 26
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Niigata Sangyo University Discussion Paper Series 28
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Bulletin of Niigata Sangyo University Faculty of Economics (in Japanese) No.26
Niigata Sangyo University Discussion Paper Series (in Japanese) No.28
Market and Activity (Y. Fukagai (ed.)) (Kyoto : Minerva Shobo) (in Japanese) Forthcoming