平成16年度には主に以下の研究実績が得た。 1.多変数共和分時系列モデルに基づき、多変数時系列間の周波数領域における一方向因果測度をより簡単に計算できるアルゴリズムを開発した。新しい計算方法はシミュレションを行う際に計算コスト減に大いに貢献できる。 2.一方向長期と短期(局所)因果測度、一方向因果測度の相対貢献度などの計算アルゴリズムを明らかにした。これらの因果測度は実証分析に時系列間における様々の複雑な因果関係をより詳しく解明することに期待できる。 3.スーパーコンピューターにて開発した多次元時系列の共和分及び一方向因果測度を計算するFortranプログラムをパソコンに移行することに成功した。さまざまケースに対応できる因果測度を簡単に計算できるように、パソコン用の新しい計量分析プログラムを開発した。 4.来年度に実証分析を展開するため、今まで構築した日米中三カ国の経済時系列データベースを更新した。特に、アメリカと中国のマクロ経済および金融時系列データを格段に充実した。 5.日米中経済発展について海外調査研究・研究発表を行い、日本国内で開かれた本研究課題に緊密に関連する主な学会及びシンポジウムを積極的に参加した。これらの学会参加および研究調査に得た情報は本研究課題の遂行に大いに役に立っている。 6.本年度中に国際雑誌掲載論文1本、国際学会発表1回の研究実績を得た。それに、各種の因果測度を用いて、日本マクロ経済指標間の一方向因果関係を詳しく分析した。論文としてまとめた研究結果が今年開催される予定の国際計量経済学会に投稿した。日米主な金融時系列における因果関係に関する研究は取り込んでいる最中である。
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