研究概要 |
本研究の目的は,日本,アジアNIES,アセアンおよび中国からなる東アジア経済の1980年代以降の成長過程を世界経済モデル分析の手法を使って,東アジア経済の中期的な成長経路の中で国際貿易と直接投資を通じた各国地域の相互依存関係の態様を数量的に解明すること,また当該地域の経済発展の在り方を,地球環境の観点を考慮しつつ実証的に評価することにある。 本年度は準備段階として,研究の基礎となる東アジア地域経済のマクロ,セクター,貿易などに関するデータベースを整備した。特に,対象国間の部門別貿易と輸出入デフレータの整備には多大な労力を要する。この研究に即したデータの整備を行うとともに,アジア経済研究所で推計された輸出デフレータに関する分析を行った。 すでにプロトタイプとして開発した東アジアを中心とするマクロ計量リンケージモデルを基礎として,今年度はアジア金融危機の中心国の一つであるタイを対象として「期待」を明示的に導入したforward looking型のモデルの開発研究を進める一方,経済発展の著しい中国マクロ経済モデルの改訂作業を行った。 中国,日本、韓国を対象とした多部門モデルの開発と比較研究はもう一つの要である。今年度は中国経済多部門モデルの開発と環境分析を試みた。国策のパイプラインプロジェクトや天然ガス火力発電建設の経済・環境への効果について評価を試みた。またモデル分析を日中韓に拡張するため,日本,韓国の多部門推計のためのデータベースの整備と先行研究の調査を行った。
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