研究概要 |
中国のWTO加盟に象徴されるように,韓国,タイ,フィリピン,インドネシアなど東アジアにおいて二国間自由貿易協定(FTA)締結の動きが加速され,日本とメキシコとの間で,FTAが締結された.そこで,企業立地のミクロ的な分析を踏まえて、中国を含む東アジアにおける自由貿易協定の我が国産業に及ぼす経済効果を2002年のデーターベースを用いてGTAPモデルにより分析した.対象国は,人口大国である中国・インドネシアなどを含む東アジア諸国,NAFTA(カナダ・アメリカ・メキシコ),EU,オセアニアなどである.データーベースは最新版のGTAP2002年を利用した.昨年に引き続き,GTAPモデルにより,日本・メキシコFTAにおける農産物輸入関税撤廃の我が国経済,特に消費者と農業への影響を分析した.さらに,このシミュレーション分析結果を踏まえて,最新のデータを利用して,我が国とタイの2国間FTA締結が,特に輸入関税撤廃が我が国産業にどのような影響を与えるのかを分析した.次に,日本・タイFTAを含み,日本・フィリピン,日本・インドネシア,日本・韓国,日本・シンガポール,日本・マレーシア,日本・中国の二国間FTAおよび日中間+ASEANなどの地域間FTA締結が,特に関税撤廃が我が国産業にどのような影響を与えるのかを分析した.そのシミュレーション結果から締結した二国間の経済厚生を高めること,FTA締結した2国以外の域内の経済厚生が低下することがわかった.
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