本研究では、都市形状の内生的な決定要因をさぐることを目的とし、都市空間経済システムのモデル化を行い、ある技術条件下(通信技術等)における都市圏の均衡土地利用パターンの理論的な分析を行った。具体的には、同一企業の多地点立地によって成立する副都心、あるいは同種の企業の同一都市圏内に複数の集中点を持つケースについて均衡付け値地代分析を行った。この付け値地代関数を中心とする理論分析をもとにして、数値モデルを作成し、これをもとにコンピュータシュミレーションによって分析を行った。その際、都市の交通・通信のパラメータの変化にともなう均衡都市形状の変化に着目した。 この準備的な分析と成果をもとに、様々なケースの都市パターンに応用できるようにモデルの拡張を試み、特に二次元空間における複雑な空間相互作用の中での均衡都市形状の分析を行いユニークな結論を得た。また、都市の内生的な空間構造の決定要因を交通・通信技術などのパラメータをもとに分析した。理論モデルから求められた均衡都市形状とシミュレーション結果の整合性の検討を行い、離散系である数値シミュレーションの原理的問題点について再度検討を加えた。さらに、交通・通信技術の発達はモデルにおけるパラメータの変化によるものと考え、実際の都市における交通・通信技術の進歩・変化に着目し、都市の空間構造の時系列的な変化の様子をもとに、パラメータの選択を中心にモデルの改良を試みた。 その結果、都市内の地価構造が、経済主体別の行動により説明することができること、それぞれの経済主体の相互作用の結果、二次元空間においても一次元空間同様な様々な形状の均衡土地利用形状が現れることが確認できた。
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