研究課題/領域番号 |
15530152
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
永瀬 伸子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (30277355)
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研究分担者 |
金子 能宏 社会保障人口問題研究所, 応用分析部, 部長
村尾 祐美子 東洋大学, 社会学部, 講師
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キーワード | 就業履歴 / 公的年金 / 労働供給 / 賃金差 / 家庭内生産 / 子どもの養育 |
研究概要 |
就業履歴は、結婚・出産といったライフイベントをはさんで、男女および世代でどのように異なるのか、またこれに対して、年金をはじめとする社会保障制度や税制は、どのような家族像を暗黙の前提としているか、国際比較を行った。日本については『全国消費実態調査』の特別集計を整理し、夫、妻、単身男性、女性、それぞれへの年金給付、および、児童への児童手当、保育の現物給付等を明らかにした。また世帯単位で見た場合に、妻の収入によって、実質的な税負担がどのように変化するか、高所得世帯と低所得世帯とでどのような差異が見られるか、現行制度の特徴を明らかにした。その上で既存の社会保障制度が、就業履歴や結婚行動の差によって、どのように異なる再配分や保護を行っているかを分析した。また、パートタイム労働者への厚生年金適用拡大等、いくつかの制度変化について想定計算を行った。 一方、日本と同じ東アジア圏にある、北京、ソウルとはどのように、結婚・出産をはさんだ男女の就業履歴が異なるかをお茶の水女子大学の実施したパネル調査の分析によって、日本と比較した。またInternational Social Survey Programを用いた欧米諸国との比較も行った。日本と韓国はもっとも男女分業的であり、これに沿うように専業主婦に対する比較的厚い社会的保護の制度が(特に日本に)あり、子育てに対する社会的な支援は薄く、少子化がすすむ共通性が見られる。北京は、専業主婦に対する社会的保護はなく、共働きが規範としても支持され、実際に共働きが多い点で、同じ東アジアとはいえ、政策変更によって、大きく規範が異なっている。
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