研究概要 |
以下、三つの分野で研究を行った。第一に、研究開発スピードの高まり、研究開発における基礎研究の重要性の高まりなどは、企業における技術取引の重要性を高めると考えられるが、米国の特許データを利用して研究開発の性格の変化を実証的に確認する研究を行っている。論文(「今後の研究開発と知的財産管理のあり方:三つの論点」)では、研究開発のスピードが速い企業あるいは発明のサイエンス・リンケージが高い企業の特許の質は高いことを見出している。 第二に、研究開発の成果の企業間の相互活用を促す制度のあり方を研究している。その重要な制度は特許プールであるが、アウトサイダーの登場、パテント・プールの分裂などの問題に直面することも多い。論文(「技術標準、パテント・プールと今後の標準政策」)では標準機関の特許声明書のあり方などその政策に主要な焦点をあてて、問題を緩和する為の政策のあり方を分析し、提言を行っている。 第三に、日本企業のライセンスのデータベースを構築中であり、そのデータベースを利用した研究の成果の一つとして、日本における最近の知的財産制度の強化が、ライセンス契約に反映されてきているかどうかを統計的に分析した。その結果、特許が研究開発の専有可能性に重要な役割を果たしている産業分野でライセンス対価がより上昇してきていることを見出した。論文("Determinants of royalty terms : Evidence from technology import contracts of Japan",IIR Working Paper WP#03-15)は、the Fifth Annual Conference of the European Trade Study Groupで発表し、論文掲載に向けて改訂中である。
|