本年度の主要な研究実績として「韓国貿易政策の基本的枠組みと危機以後の変化-貿易・為替・外資政策-」と題する論文を現在執筆している。同論文は80年代までの韓国の貿易政策をまずは概観し、90年代以降にとりわけ焦点が当てられ分析がなされている。金泳三政権・金大中政権・盧武鉉政権下での貿易政策の特徴と変化について詳細に考察した。金泳三政権下では、新経済5力年計画が樹立され、「新経済」制度改革と対外経済開放政策が並行して推進されることによって、経常取引・資本の自由化、為替市場の自由化が急速に展開されたが、その内実について詳細に分析した。続く金大中政権では、危機克服と構造改革という国家的課題が「民主主義と市場経済の並行的発展」の下で、いかに進展したかを分析した。外国為替自由化計画、外国為替取引関連規制の大幅自由化、外1国人土地法の改定などを考察した。先行研究では、貿易政策の自由化の側面だけが取り上げられる傾向が強いが、本研究では2000年以降はむしろ規制強化の動きが顕著であったことを指摘している。今日の盧武鉉政権では外国人投資促進法施行令の改定にみられるように、大規模投資を対象とする外国人投資地域の支援要件を大幅に緩和していること、輸出促進支援政策に力点を注いでいること、これらの実態について分析・考察した。現在の韓国の輸出は商品構造が半導体・コンピュータ等の一部の商品に過度に偏重している。そのため、先述したように政府は輸出促進支援政策を積極的に推進しており、その内容としては(1)輸出金融及び輸出保険の提供を拡大、(2)海外展示会への積極的参加、(3)貿易基盤構築事業の実施などを取り上げ、詳細に分析・考察した。
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