本研究は近年の韓国貿易の現況とFTAに関して分析している。貿易動向は1990年代に入って、2000年代中盤までを対象期間とし、商品別貿易の様相を明らかにした。まず商品別輸出の特徴を記すと、次の通りである。第1に、90年代に韓国輸出商品の最大品目は電機・電子製品になったことである。第2に、機械類が電機・電子に次いで輸出額の大きい品目として登場していることである。第3に、軽工業製品の停滞・減少、構成比の全般的低下である。これらの特徴を細項目の商品分類で詳述した。商品輸入の特徴は第1に、90年代にかけて鉱産物と電機・電子の構成比が上昇したことである。第2に、対照的に同期間、農林水産物と械類の構成比は低下し、輸入金額自体も90年代後半には減少していることである。 FTAに関しては、韓国が初に締結したチリとのFTAと急展開した対米FTAに焦点を絞って考察した。対チリFTAについては、韓国外交通商部の見解、サムソン経済研究所研究員パク・ポンスンの見解を取り上げ、考察した。そこで、経済危機以後「FTA未締結による機会費用・損失=不利益論」と「FTAによる経済構造調整促進論」が2大理論支柱として「FTA必要論」が成立し、影響力が拡大されることによって、韓国政府は国の対外経済政策をこれまでのマルチ=多国間主義(グローバル)を原則としたものから、バイ=二国間主義(リージョナル)に基づく全面的なFTA推進へと方針を積極的に大きく転換したことを明らかにした。対米FTAに関しては第8次までの交渉経過をまとめた。
|