国際定期船海運と国際定期航空の東アジアを中心にした航路・路線構造とサービス属性の変化について1990年から2000年までの統計データをもとにネットワーク構造の変化について分析を行った。分析結果の要約は以下の通りである。 1990年代半ばから発生したアライアンス形成を通じて船社は、船舶数の増加や船舶の大型化が可能となった。提携によって増大した船隊数を利用することによって船社は、ルート数とルートの種類を増加し、港湾に寄港する頻度を増やし寄港形態を変更した。その結果、南アジア地域ではLaem Chabang、Manila、Tanjung Pelepas、中国の上海、赤湾、塩田、蛇口、大連、青島などの港湾が基幹航路上の港湾として新たに登場した。また、韓国での釜山以外にKwangyangに寄港しはじめ、日本では仙台、博多、北九州が基幹航路上の港湾として登場した。 アジア域内の港湾に対する寄港形態の変化は、アジア港湾間の競争を一段と激しい競争状態におくことになった。アライアンス形成前にはハブ港間の競争であったが、アライアンス形成後では、既存のハブ港とFeeder港から成長した新たな基幹港湾との間に新しい競争形態が出現した。アライアンスの形成とアジア地域の経済成長は、経済のグローバル化、荷主ニーズの多様化、それへの船社の対応といった諸要因の結果、国際定期船海運における航路構造とサービス属性に大きな変化を惹き起こしたといえる。 以上の分析結果を学会誌に公表した。
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