研究課題/領域番号 |
15530162
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 光 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90093244)
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研究分担者 |
脇村 孝平 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30230931)
佐藤 隆広 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60320272)
土屋 貴志 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90264788)
美馬 達哉 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20324618)
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キーワード | バイオ産業 / 基礎研究 / 新薬開発 / 雇用効果 / 政府資金 / 倫理的諸問題 |
研究概要 |
本研究は、バイオクラスターの経済倫理学に関する基礎的研究と、関西バイオ産業の実証的事例研究の二つの柱からなっている。 まず前者については、内外の膨大な文献資料の分析や、経済学者、生命科学者、哲学者、人類学者との討論などを通じて、バイオ産業の以下の一般的特徴を明らかにした。 (1)きわめて高い研究費・売上高比率、(2)大学や公的研究機関におけるそれも含めた基礎研究の大きな比重、(3)きわめて低い新薬開発成功率、(4)研究開発における規模の経済の不在、(6)小さな雇用拡大・景気刺激効果、(7)政府資金の重要性、(8)ES細胞や幹細胞利用などによる画期的な難病(たとえばパーキンソン病)治療法の確立が現実化しつつある一方で、「産業化されつつあるバイオテクノロジーの倫理的諸問題」という従来より一層複雑な問題が発生しつつあること、など。 特に(7)については、アメリカ政府と中国政府の積極的なバイオテクノロジー、バイオ産業振興政策が印象的であった。(8)については、なんらかの法的規制が必要であることは明らかになったが、それをどのような哲学的・倫理的基盤に基づいて行うべきかという点についての準備不足(特に日本のそれ)も明白になった。 関西バイオ産業の実証研究に関しては、近畿バイオインダストリー振興会議からのヒアリングなどを行なったが、基礎的研究に手間取ったこともあり、研究報告書の作成に向けて現地訪問、資料整理などが現在も進行中である。ただし、上記の(6)などの観点からは、バイオ産業が関西経済や日本経済の浮揚にどこまで役立つかについては疑問が残り、その点をめぐって近畿経済産業局などとの討論を行う予定である。
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