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2004 年度 実績報告書

不確実性の下での労働移動ダイナミックスの理論的・実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15530164
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

赤林 英夫  慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (90296731)

研究分担者 藤田 康範  慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (40265939)
厚地 淳  慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00221044)
キーワード労働移動 / オプション理論 / 一般均衡
研究概要

本研究においては、労働市場における賃金等の不確実性が、労働力の地理的移動のスピードと変動に与える影響を考察する。理論的には、近年応用が広がっているオプション理論を適用し、中長期的な賃金上昇の期待と不確実性が、不可逆性の大きい労働移動に与える影響を、一般均衡理論の枠組みで分析する。実証としては、アパルトヘイト後の南アフリカ共和国における、黒人労働力の移動を利用する予定であった。
2年目にあたる本年は、1年目に続き、理論部分の完成に力を注いだ。1年目に課題として残された、内生的に決定される賃金過程の「歴史依存性」の処理については、2変数のマルコフ過程として書き直すことで、解の分布を導出することができた。この解法は、通常オプション理論の分析で行われるような偏微分方程式への書き換えを通さずに、直接最適停止問題を解くものとのなった。その解析解に基づき、具体的は分布関数を労働者の異質性(移動コスト)の分布にあてはめ、数値シミュレーションを行った。シミュレーションの結果は、解析的な解から予想される振る舞いと一致し、また、経済学的な直感ともほぼ一致した。これにより、当初計画していた一般均衡理論が完成した。よく考えてみると、この一般均衡モデルは、労働移動に限らず、どのようなリアルオプションモデルでも利用可能な結果である。我々は結果として、そのような一般的な問題に対する一つのアプローチを提案したことになる。
実証研究に関しては、理論部分の完成が遅れたために、多くの進展を見ることができなかった。しかしながら、理論部分の分析が、当初の予想以上に複雑かつ一般的な問題を正面から解くことに帰着したので、我々としては理論部分だけで十分大きな成果となったと考えている。現在は、実証部分の継続と共に、理論部分の結果を、独立した論文として、投稿準備を行っているところである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 出稼ぎ労働と所得リスク2005

    • 著者名/発表者名
      赤林 英夫
    • 雑誌名

      グローバル・セキュリティ入門(薬師寺泰蔵編著)(慶應義塾大学出版会) (未定)

  • [雑誌論文] 労働移動と経済発展:最近の研究と展望2004

    • 著者名/発表者名
      赤林 英夫
    • 雑誌名

      三田学会雑誌 97・3

      ページ: 1-18

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Parabolicity, projective volume and finiteness of total curvature of minimal surfaces.2004

    • 著者名/発表者名
      Atsuji, Atsushi
    • 雑誌名

      Kodai Math.J. 27(no.3)

      ページ: 227-236

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 中小企業活性化に向けての公的金融の役割2004

    • 著者名/発表者名
      藤田 康範
    • 雑誌名

      国民生活金融公庫総合研究所 調査季報 第71号

      ページ: 20-31

  • [図書] 「市場型間接金融商品の動向と今後の公社経営に関する調査研究」報告書2004

    • 著者名/発表者名
      藤田 康範
    • 出版者
      郵政総合研究所

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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