研究概要 |
研究全体に必要となる3種類のデータベースを作成した。第1のそれは日本の代表的な医薬品企業20社を対象とした1980年代以降の医薬品開発プロジェクトのデータである。同期間の医薬品開発数は約200品目であることから,プロジェクト数は1000程あると推定される。これらのプロジェクトについて,その研究主体の企業名,提携企業,研究時期とそのフェーズ,研究成果として獲得された特許その他の属性等についてデータを収集した。第2のそれは,1990年代に実際に開発された世界の代表的な医薬品300品目程について,研究主体の企業名,提携企業,研究成果として獲得された特許その他の属性等研究主体についてデータを収集した。第3のそれは,日本の代表的な医薬品200品目程の1990年以降の薬価,納入価格,売上額についてのデータを作成した。 上記のデータベースを利用した研究を次のように行う。第1の実証研究では,日本の医薬品価格が企業の選択する生命科学研究プロジェクトの種類と,研究に投下する資源にどのように影響したかを検討する。その予備的考察として,「日本の薬価基準制度-過去25年の制度と評価」を執筆した。 医薬品企業はこのような薬価,納入価格の将来動向を予想して,製品によってもたらされるキャッシュ・フローを最大化するような研究開発プロジェクトを選択すると想定される。さらに選択された研究プロジェクトがアメリカ合衆国における研究開発領域と異なるか否かを分析する。この第1の実証分析の準備を行った。
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