1 中小企業の行動、特に研究開発活動に影響を与えると考えられる諸要因を、既存の文献、若干の企業とのインタビューなどから考察した。その際、従来、この問題についてまとまった議論が少ないために、わが国で固有の研究スタイルをもつ中小企業論、産業組織論、企業組織の経済学、そしてまた経営学などの文献を展望する形で進めた。特に、産業組織論と企業組織の経済学を応用した戦略経営論を、中小企業に適用する形で議論を整理した。 2 以上の考察から、中小企業の研究開発に影響すると思われる諸要因の影響について、その有無とその程度をアンケート調査で考察するために、調査票を作成した。それは、大きく(1)「戦略上の重点」、(2)「資本・財務政策と研究開発」、(3)「戦略の策定と組織構造」、(4)「研究開発の管理」、(5)「その他」に分類されたものからなり、それぞれ関連する質問項目が示されている(A4版12頁)。この調査票が既存資料から利用可能な957社に送付され、2003年12月15日期限の回答を求めた。その結果、回答した企業は221社であり、同種調査と比べてその回答率は悪くはないと思われる。集計結果を分析中である。また、補足作業として、電話等で回答者に質問をするなどしている。 3 今後の計画としては、調査票におけるの各質問項目間の関係、そして既存の資料で利用可能な企業の諸特徴との関連を解明する予定である、また、協力いただいた回答企業に集計結果を送付し、意見を聞くことにしている。 なお、本プロジェクトでは、実証分析に重点を置いているが、1の作業過程で行われた、中小企業の行動の経済分析についての展望を論文に作成することも有意義であると思われるので、その作成も試みる予定である。
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