1今年度は、概略的には、昨年度に引き続き、中小企業の研究開発活動に影響を与えると考えられる諸要因について、新たな既存の研究を考察・展望した。そして、昨年度に実施したアンケート調査の結果を集計し、その集計結果を考察し、また昨年度の調査では不十分、不完全であると思われる点を補足するために、追加の新たな調査(アンケートとインタビュー)を準備・実施している。 2まず、産業組織論組織の経済学などの視点に立って、これまでの既存研究に関する展望論文を作成した。この論文は、中小企業庁の『中小企業白書』の作成に協力している関係で、同庁の研究会(2004年8月)で報告し、意見の交換を行った。また、こうした展望作業とアンケート調査で得た知見をもとに、雑誌『商工金融』(商工総合研究所)において、中小企業研究に対するアプローチのあり方(戦略的経営)について議論を展開した。そこでは、中小企業の分析には、産業組織論的、経営戦略的な捉え方が有意義であることを強調した。 3次に、第一次アンケート調査の集計結果を作成し、それを基に、進歩的企業の研究開発上の主要な特徴を明らかにしたディスカッション・ペーパーに纏めて配布した。また、調査結果の一部を、上記の中小企業庁研究会での報告、日本中小企業学会全国大会での共通論題報告に対する討論とその後のパネルディスカッション(パネリストとして参加)での討論、の中で公表し、利用した。なお、この集計結果について、英文で論文作成中である。 4現在、中小企業経営者からのフィードバックを考慮しながら、第一次調査結果をさらに分析し、そしてそれを補足すべく、追加的調査を実施している。
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