平成16年度には、既に開発したソフトウェアを用いて2004年の日本の貿易指数データベースを作成した。これらの貿易指数データを使って、日本の機械類貿易構造変化から見た東アジアの発展形態に関する定量的な分析を行った。具体的には、日本の機械類貿易を(1)耐久消費財輸入、(2)資本財輸出、(3)資本財輸入の3つに分けて分析した。 耐久消費財輸入は、現在、欧米タイプと東アジアタイプに2極分化しつつあり、欧米からは、乗用車と音楽・映像ソフト類を中心に輸入品目が集約化される反面、それ以外の品目は中国・ASEAN4からの輸入が急増している。東アジアの中で、これまで耐久消費財の主要な輸入相手国であったNIEsは、その役割を急速に縮小して、むしろ日本に対する主要な資本財供給地域になりつつある。これらの動きは、ある意味で雁行形態的であるが、移行速度が急速なだけでなく、必ずしも、NIEs→ASEAN4→中国というステップを経ているわけではない。耐久消費財の主要な輸入相手国としてNIEsに代わってASEAN4や中国が台頭してきたのは90年代半ばから後半にかけてほぼ同時期であった。 資本財輸出の場合は、輸出国である日本の比較優位が輸出品目に反映されるため、輸出相手国による品目構成差はそれほど大きくない。中国を含め現在の対東アジアでは、相手国・地域による輸出品目の大きな違いはないようである。ただし、輸出相手国の需要構造に応じて欧米タイプと東アジアタイプに緩やかに二分できる。 資本財輸入では、相手国の比較優位が反映されるため、輸入相手国によって品目構成に一定の差が出る。しかし、資本財の場合は、比較優位の差だけで輸入先が決まるわけではなく、規模の経済や製品差別化などが働く不完全競争下での貿易となるため、耐久消費財や非耐久消費財に見られたような完全特化に近い形で生産国や輸入国が決まってくるわけではない。概ね、中国→ASEAN4→NIEs→米国という雁行形態が観察される。
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